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銀原子7個のナノクラスター〜日経サイエンス2020年12月号より

東大,酸化物で安定化

 

銀ナノクラスターのイメージ図。タングステン酸化物(緑色)に囲まれた中心部の部分が銀ナノクラスター(黒色)。
鈴木康介(東京大学)

東京大学の鈴木康介准教授らは,銀原子7個が集まった超微細な物質「銀ナノクラスター」を開発した。銀原子は単独では不安定だが,筒状のタングステン酸化物の中に置くことで安定させた。銀が持つ触媒機能や抗菌機能の強化が期待でき,応用商品の実用化を目指す。

 

ナノクラスターは,数個から数百個程度の原子を集めて1~2nmサイズの微小物質としたもの。銀ナノクラスターは,通常の塊状の銀や銀イオンとは異なる特性を持つ。ナノクラスターの大きさや形によっても性質が変わるため,機能材料としての活用が期待されている。しかし単独では空気中や溶液中でも簡単に反応してしまうため,安定性に問題があった。

 

鈴木准教授らはタングステン酸化物を使い,銀原子を囲むように合成した。利用したタングステン酸化物は安定構造の一部が欠損した構造で,金属イオンと反応して金属を安定させることができる。3組みのタングステン酸化物を組み合わせて筒のような空洞を持つ形状を作り,内部で酸素と銀原子を結合することで安定した銀ナノクラスターを実現した。

 

一部の銀原子は外部に露出しているが,有機溶媒中でも1週間以上変化しない。大部分の銀原子がタングステン酸化物に包囲されて安定しているためと考えられるという。銀ナノクラスターは化成品原料用の触媒などで活用が期待される。より微小な構造で表面積が大きくなることをいかせば,高効率な触媒などの開発につながりそうだ。■

 

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