エリジオンが数学の応用を紹介 〜豊島岡女子学園生、仮想空間も体験
数学の応用を学ぶ特別講義が2019年12月、豊島岡女子学園中学校・高等学校(東京都豊島区)で開かれた。数学がもの作りや社会でどのように役立てられているかをエリジオン(浜松市)の専門家がわかりやすく解説した。
エリジオンは3次元形状処理とデータ変換を得意とするソフトウエア開発企業。取引先は自動車や航空機など国際企業が多く、数学や物理の得意な人材を積極的に採用している。
講師は平岡卓爾プロダクトマーケティングマネージャーら4人が務めた。数学の応用例として3次元スキャンデータを説明した。物体にスキャナーのレーザーを当てて、跳ね返りから物体の大きさや形状などの再現に役立つ縦・横・高さの3次元データを採取し、コンピューター上で再現する。
例えば工場内に多数のスキャナーを設置してスキャンと画像撮影をして3次元データを組み合わせると,コンピューター上で工場内部を再現できる。内部をいろいろな角度から眺めたり移動したりすることができる。これを利用すれば配管の設置レイアウトを変更するときに既存の設備が邪魔にならないかを事前に確認することができる。
高速道路の事例も紹介した。自動車にスキャナーを積んで高速道路を走りながらスキャンすると,高速道路の3次元スキャンデータが採取でき,コンピューター上に仮想の高速道路が再現できる。平岡氏は「高速道路を点検・補修する前に,作業車両を現場のどこに駐車したら安全かといったことを事前に検討したりするのに利用されている」と説明した。
講義の最後では受講生がヘッドマウントディスプレーをかぶり、3次元スキャンデータで再現した仮想空間を体験。見る向きを変えると映像が瞬時に変化し、歓声が上がった。■
(日経サイエンス2020年7月号に掲載)
※所属・肩書きは掲載当時
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協力:日経サイエンス 日本経済新聞社