中高生が学ぶ サイエンス講義

セコム、IoTの安全を解説 〜中大附属高生、国際標準化学ぶ

 「IoTを実現するための安全なネットワーク技術と国際標準化」と題した特別講義が2020年2月、中央大学附属高等学校(東京都小金井市)で開かれた。セコムの専門家がIoTによって暮らしがどのように便利になるかを解説。そのために各国の専門家が国際標準化に協力していることを紹介した。

 中大附属高校はスーパーサイエンスハイスクール指定校。セコムのコーポレート広報部の中川翔平氏が同社の会社概要を紹介した後、同社IS研究所(東京都三鷹市)の瀧田悠一研究員がIoTを解説。IoTとは、身の回りの家電製品をはじめとしてあらゆる物をインターネットでつなぎ、人を介さずにデータを動かす仕組みと説明した。例えば、電動歯ブラシや枕がインターネットにつながるとどのように便利になるのかを紹介した。瀧田氏はセコムのオンラインセキュリティシステムも紹介。契約者の自宅や建物に防犯センサーや火災センサーなどを取り付けて常時監視し、異常を検知したら緊急対処員が急行するなどの対応をしていると説明した。

 一方で、IoTの安全性にも言及。水路に設置した監視カメラが第三者に乗っ取られ操作できなくなった事例などを説明した。瀧田氏は家電製品や監視カメラなどネットにつながるIoT機器が乗っ取られたり悪用されたりしないように、「設計の時から安全を考慮することやソフトウエアの自動更新などIoT機器を守ることが大切」と指摘し、インターネットに関する技術の国際標準化の重要性を詳しく解説した。

他の人と協力して良いものを実現
 具体的には、インターネットの設計や使用、管理の方法に関する技術文書を作成して公開している標準化団体IETFの活動を説明。メンバーは世界の企業や研究機関の専門家。瀧田氏も参加し米英仏などの専門家と一緒にIoT機器のソフトウエアを自動更新する技術について日本メーカーの機器でも動作することを示したという。瀧田氏は「他の人との議論や協力によって、より良いものを作れます。つながることは価値になります」と語った。 ■

(日経サイエンス2020年5月号に掲載)
※所属・肩書きは掲載当時

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協力:日経サイエンス 日本経済新聞社