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友達の友達は自分そっくり?〜日経サイエンス2018年10月号より

個人の隠れた個性をソーシャルネットから明らかにする方法

 

人は自分と似た人と一緒に過ごすことが多いので,オンラインや現実世界の社会的ネットワークを解析することによって,その人の考え方や性格を容易に推測できる。考え方の似た人を探し求めるこの傾向は「ホモフィリー」と呼ばれる。「類は友を呼ぶ」ということわざ通りだと,このテーマを研究しているスタンフォード大学の経営科学工学研究者ウガンダー(Johan Ugander)はいう。

 

だが驚いたことに,ウガンダーと大学院生のアルテンバーガー(Kristen M. Altenburger)は,一部の人は自分と異なる性格の人に一貫して惹かれることを見いだした。彼らはこれを「モノフィリー」と呼んでいる。以前は,友達ネットワークに基づいてそれらの人々について結論を引き出すうえで異質性は妨げになるだろうと考えられていた。だがウガンダーとアルテンバーガーの研究は,自分が直接の友達よりも,その友達の友達とよく似ているという効果を生み出しているのがモノフィリーであることを示している。とすると,隠された個性を推測するのはこれまで考えられてきたよりも容易かもしれない。また,データマイニングによって個人情報を追跡する方法が1つ増えることになる。

 

ウガンダーとアルテンバーガーは3月のNature Human Behaviour誌オンライン版に発表したこの研究で,3種類の異なるネットワークを解析した。オンラインのソーシャルネットワークと,政治ブログのネットワーク,よく研究されたテロリスト情報ネットワークだ。(続く)

 

 

再録:別冊日経サイエンス230「孤独と共感 脳科学で知る心の世界」
 

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