空気清浄網戸〜日経サイエンス2017年6月号より
ナノファイバーをコーティングして粒子状物質の90%を除去
汚染物質をとらえるナノファイバーを使った新しい網戸はスモッグに煙る都市の住民が一息つくことを可能にするかもしれない。このナノファイバーは窒素を含むポリマーでできており,「ブロー紡糸」という方法で網戸に吹きつけられる。ポリマー溶液の小さなしずくが気流によって噴霧のなかに広がり,ナノファイバーの非常に薄い層が形成される。
通常の網戸を通過して肺に達してしまう有害な粒子状物質の90%以上を除去できる一種のブロー紡糸ポリマー(一般にゴム手袋やテントに使われている)をスタンフォード大学と北京の清華大学の科学者たちが開発し,Nano Letters誌に先ごろ報告した。柔軟なナイロンメッシュをロールから毎分1m弱の速度で引き出しながら汚染物質吸着ナノファイバーを吹きつけ,メッシュを巻き取る。研究チームはまた,金属被膜のメッシュにファイバーを付着させ,大量の粒子状物質を吸着した後にティッシュで膜をぬぐって調べた。
スモッグのひどい北京で12時間の実地試験を行った結果,このポリアクリロニトリル・ナノファイバーをコーティングした網戸は肺がんや心臓病の原因となりうる有害な粒子状物質の90%を除去し,新風を吹き込んだ。■
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