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駄洒落の理解で脳が分業〜日経サイエンス2017年2月号より

右脳と左脳の処理が合わさったところで“おかしみ”が生まれるらしい

 

コメディー界で駄洒落(だじゃれ)は評価が分かれている。批判者によれば駄洒落は「最低のウイット」であり,様々な作家がこの批判を引用しているが,かのシェークスピアを含め駄洒落を自在に駆使した作家もいる。

 

Literality: Asymmetries of Body, Brain and Cognition誌に掲載された最近の研究によると,脳そのものも駄洒落について分かれているようだ。脳は駄洒落を処理する際に左半球と右半球が異なる役割を分業しているようで,最終的に左右の脳が連絡を取り合った結果として,ジョークの“落ち”がつくのだという。

 

ユーモアの基本方程式

カナダのウィンザー大学の研究チームは駄洒落というユーモアを脳が処理する過程を観察するため,駄洒落を構成する単語を被験者の左視野または右視野のいずれかに見せた(左視野は脳の右半球に,右視野は左半球に対応している)。そして,それぞれの場合の反応時間を測り,どちらの半球が優位に働いているかを調べた。「言語をつかさどる左半球が駄洒落の言語的側面の大半を処理し,やや遅れて右半球が働き始めて,その言葉が帯びた二重の意味を解釈する」と,心理学教授でこの研究論文を共著したブキャナン(Lori Buchanan)は説明する。

 

この結果,言葉遊びの一種である駄洒落が「予想+予想に反した場違い=笑い」というユーモアの基本方程式を満たして,「面白い」と認識される。駄洒落では単語が複数の意味を曖昧な形で担っているが,私たちはまず,文脈に沿った形で言葉の意味を解釈する。これは脳の左半球が処理するプロセスだ。その後,右半球がその言葉が持つ予想外の別の意味を引き出し,ブキャナンがいう「驚きの再解釈」が生じる。

 

今回の研究は,脳の右半球に損傷を受けるとユーモアを解釈できなくなる場合があるという以前の報告と整合するとブキャナンはいう。右半球を損傷すると,ジョークの意味は理解できるものの「面白いとは感じない」状態になる場合があるのだ。今後の研究が,そうした患者にユーモアの感覚を取り戻すためのリハビリ訓練につながることをブキャナンは期待している。結論:駄洒落の科学には洒落た期待もある。■

 

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