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探査機ジュノー木星到達へ〜日経サイエンス2016年8月号より

5年の旅を経て目的地で観測開始

 

木星の厚い雲の下深くを探る初の探査機が7月4日,この巨大ガス惑星に到達する予定だ。米航空宇宙局(NASA)が送り込んだこの木星周回探査機「ジュノー」は,木星の起源と進化を解き明かすデータを収集するほか,長寿命の巨大嵐である「大赤斑」に関する詳細データを集め,これまでで最も解像度の高いカラー画像を地球に送ってくることになっている。

 

木星は原始太陽系星雲で太陽が形成された後に残されたガスと塵から生まれたとみられているが,その詳しい過程はわかっていないうえ,木星が固体の核を持っているのかどうかも不明だ。「木星形成の過程を知ることは,他のすべての惑星の形成と,初期太陽系で何が起こっていたのかを知るために非常に重要だ」と同プロジェクトの首席研究者ボルトン(Scott Bolton)はいう。

 

NASAのチームはこの目的を念頭に,木星大気の化学組成を計測するセンサーや,重力場と磁場を計測して地図化する計器など,様々なセンサーをジュノーに組み込んだ。マイクロ波放射計は木星表面を覆う雲の550km下を“見る”ことができる。

 

木星に的を絞った探査機は1995年に木星に到達して8年間の観測を続けた周回探査機「ガリレオ」以来で,ジュノーが2つ目だ。ただ,ジュノーと木星のランデブー期間はガリレオの場合よりもずっと短い。約20カ月間の観測の後に周回軌道を外れ,木星大気に突入して燃え尽きる。■

 

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