ひらめきは正しいか?〜日経サイエンス2016年7月号より
どうやら正しいことが多いようだ
「わかった!」と思うアハ体験に満足がいくのは,それが非常に好ましく感じられるのが一因だ。意識して努めたわけではないのに,パズルのピースがすべてぴたりとはまった感じ。だが,そうしたひらめきが本当に正しいと信じてよいのだろうか? Thinking & Reasoning誌に発表された最近の研究によると,その答えはイエスだ。この種のひらめきが難問への正解を導くという古くからの知恵を,この研究は支持している。
ノースウェスタン大学のポスドク研究員サルヴィ(Carola Salvi)とドレクセル大学の心理学者コウニオス(John Kounios)らは,大学生に字謎や判じ絵などのクイズを解いてもらう4つの実験をした。制限時間が終わった時点で,問題を解くときに段階的に考えたか(解析的問題解決),答えがぱっと浮かんだか(ひらめきによる解決)を尋ねた。
4つの実験すべてで,ひらめいた答えのほうが慎重にたどり着いた答えよりも正しい場合が多かった。例えばある実験では38人の参加者に,提示した3つの単語と組み合わさって複合フレーズを作る単語を考えてもらった〔「crab」「pine」「sauce」に対する答えはapple(crab apple野生リンゴ,pineappleパイナップル,apple sauceリンゴソース)など〕ところ,ひらめいた答えの正答率が94%だったのに対し,解析的に考えた場合は74%だった。(続く)
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