エボラを素早く検査〜日経サイエンス2016年2月号より
グーグルサイエンスフェアで17歳の女子高生が大賞獲得
現在17歳のハリシー(Olivia Hallisey)は,医療関係者が直面している難題の解決法をたった1年で開発した。エボラウイルスの初期感染を素早く診断検査できる持ち運び可能な検査キットだ。これが注目を集めないはずはない。去る9月のグーグルサイエンスフェア(サイエンティフィック・アメリカン協賛)のグランプリを獲得した。
ハリシーはコネティカット州グリニッジに住む高校生。最近のエボラ出血熱の流行で大打撃を受けた西アフリカから遠く離れているが,この病気がギニアとシエラレオネ,リベリアで急拡大しているという報告を読み,自分も何かしなければと思い立った。科学教師の励ましを得て,既存のエボラウイルス検査法について調べた。
この結果,ほとんどの検査法が電力と冷凍設備を必要としていることがわかった。田舎の村ではどちらも不足しており,検査結果がわかるまで何日もかかっている。診断がつくのは患者が他人にウイルスをうつした後であることが多い。「エボラウイルスの拡散を止める最良の方法は,人にうつす前に患者を隔離することだ」とハリシーはいう。
彼女は冷凍せずに検体を安定に保てる絹繊維誘導体を使うことを思いついた。この素材を開発したタフツ大学の生物医学工学者たちに相談し,室温で使えて30分以内に結果が出る持ち運び可能な検査シートを作る方法を見つけた。ハリシーの次の目標は,この検査シートを現場で評価してくれる医師のもとに届けることだ。■
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