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飼いネコがうろつく場所〜日経サイエンス2011年10月号より

行動を追跡,野良ネコとの違いも明らかに

by Tomi Tapio


 野外好きのネコを飼った経験がある人なら,ネコが数時間,ときには数日間も姿を消すことをご存じだろう。姿を見せない間,ネコはどこに行っているのだろうか。これは飼い主ばかりでなく,自由に歩き回るネコが野生生物に与える影響を調べている自然保護研究者にとっても気になる問題だ。
 最近,イリノイ大学とイリノイ州自然史調査所の科学者たちは,同州シャンペーン・アーバナの南東区域で,飼いネコ18匹と野良ネコ24匹の首輪に無線送信機を取り付け,トラックと徒歩で1年以上にわたって追跡調査した。Journal of Wildlife Management誌に発表された結果によると,飼いネコは怠惰な暮らしぶりのままで,80%の時間をうたた寝に費やし,17%は毛づくろいなどの緩慢な活動に充て,狩りなどの活発な行動の時間はわずか3%だけだった。これに対し野良ネコがうたた寝していた時間は62%だけで,14%の時間(ほとんど夜間)は非常に活発に行動して過ごした。野良ネコが動き回った範囲は研究者の予想をはるかに上回り,最大で1351エーカー(約547ヘクタール)に達した。対照的に,飼いネコは家の周囲およそ5エーカー(約2ヘクタール)の範囲にとどまっていた。(続く)

 

続きは日経サイエンス2011年10月号に

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