星の年齢を見破る新方法〜日経サイエンス2011年10月号より
自転速度から割り出す研究が進行中
恒星は年齢を偽って見せるきらいがある。年寄りの星がずっと若く見える場合があるのだ。これは生命が存在しそうな惑星を探している天文学者にとっては問題だ。恒星の年齢は周囲の惑星にどんな生命体が存在しうるかと関係するからだ。
「恒星とその惑星が10億歳くらいでは,最も原始的な微生物しか存在しないことが,地球の例から推測できる」とハーバード・スミソニアン天体物理学センターのメイボム(Søren Meibom)は5月にボストンで開かれた米国天文学会で述べた。「地球と同じ46億歳くらいなら,複雑で知的な生命体がいる惑星の可能性ががぜん高くなる」。
しかし,メイボムがいうように「恒星は出生証明書を持っていない」。そして星は一生の大半を通じて,外観の特徴の多くが変わらない。ただし1つの特徴は確かに変化する。年を取るにつれ,星の自転は遅くなるのだ。だから「星の自転速度を年齢測定の時計代わりに使える」。
しかし,それにはまず時計の文字盤に数字を書き入れる必要がある。非常に若い恒星については,自転と年齢の関係がすでに明らかになっている。そこでメイボムらは,より高齢の星の自転速度を測定中だ。様々な年齢の星について年齢と自転速度の関係がわかれば,星の年齢の推測がずっと容易になるだろう。出生証明書は不要だ。
〜ほかにも話題満載 日経サイエンス2011年10月号