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寂しき準惑星〜日経サイエンス2014年5月号より

発見ブームは終幕に近い

 

 冥王星は数十年間,太陽系外縁部において誰もが認めるヘビー級チャンピオンだった。現在では,この愛しの天体が数ある準惑星の1つにすぎないことがわかっている。準惑星のほとんどは海王星よりも外側の軌道を回っている。

 

 冥王星が惑星から準惑星に降格されるきっかけとなったのは,10年ほど前にピークに達した準惑星の発見ラッシュだった。2002年から2007年までの間に,カリフォルニア工科大学の天文学者ブラウン(Mike Brown)らは準惑星のエリス,マケマケ,ハウメアなどいくつかの主要な天体を発見した(ハウメアについては別のグループも発見を主張している)。それ以降,ブラウンのグループがまだ探索していない領域も多く残ってはいるものの,太陽系外縁部での大きな天体の発見はストップしている。

 

残り少なし?

 なぜなのか。最近の研究によると,大きくて明るい天体のほとんどがすでに発見されてしまったためだ。かつてブラウン研究室の大学院生で現在は台湾の中央研究院に所属するシュバン(Megan Schwamb)は太陽系外縁部について大規模な探索観測を行い,その結果から天体の総数を推定した。「およそ12個存在するとみられる」とシュバンはいい,うち9個はすでに知られていると補足する。「つまり,明るい準惑星の棚卸しはほぼ完了しているということだ」。1月のAstronomical Journal誌に発表した。

 

 全天を調べ終わったわけではないものの,明るい天体が存在する領域は網羅されているようだ。それでも準惑星が見落とされている可能性はあるとフロリダ工科大学のラゴジン(Darin Ragozzine)はいう。星が集中する天の川の銀河面が準惑星を覆い隠している可能性を彼は指摘する。だが,そのため未発見になっているものが何個もあるとは考えにくい。

 

 「準惑星発見の黄金時代は終わった」とシュバンはいう。もっとも,同様の天体がもっと遠くにあって,暗すぎて特定されずにいるのかもしれない。「物陰に潜み,だれかが見つけてくれるのを待っているのだ」とシュバンはいう。■

 

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