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進む宇宙の地図作り〜日経サイエンス2014年5月号より

電波望遠鏡と人工衛星で天の川銀河の天体の位置を測定する計画が進んでいる

 

 宇宙の地図作りが新たな段階を迎える。欧州宇宙機関(ESA)は昨年12月,天の川銀河の星々の3次元的な位置と運動を測定する宇宙望遠鏡「ガイア」を打ち上げた。約1000億円に達する巨大プロジェクトだ。

 

 

 日本でも国立天文台を中心に,天の川銀河の地図作りの計画が2つ同時並行で進んでいる。ガイアが作る地図と組み合わせることで,天の川銀河の誕生と進化の謎解きが大きく前進しそうだ。「世界地図に記された大陸の形状からプレートテクトニクス理論が発想されたように,天の川銀河の地図から思わぬ発見がもたらされるかもしれない」と国立天文台の郷田直輝教授は話す。すばる望遠鏡を使い,天の川銀河より外側の広大な宇宙を対象にした暗黒物質の地図を作るプロジェクトも3月末から本格スタートする。

 

 日本が進める天の川銀河の地図作りの1つはVERA(ベラ)計画だ。国内4カ所に設置した直径20mの電波望遠鏡を連携させて天体の位置と運動を精密測定する。2003年に観測を開始,近く約150天体の観測を終える見通しだ。

 

 もう1つはJASMINE(ジャスミン)計画。2015年から2020年代にかけて超小型衛星と小型衛星,中型衛星を順次打ち上げ,太陽系近くから天の川銀河中心部までの主に赤外線天体の位置と運動を精密測定する。一番手の超小型衛星(右下のイメージ図)は製作が完了,2015年後半にブラジルの発射場から打ち上げる予定だ。二番手の小型衛星は新型固体ロケット「イプシロン」の5号機による2019年打ち上げを目標に準備を進めている。

 

三角測量で位置を測定

 天の川銀河の地図作りの基本は地表の地図作りと同じ三角測量だが,測量に用いる三角形のサイズが桁違いだ。それは対象となる天体Xと太陽,地球の3点を結んで作る非常に細長い三角形で,地球と太陽を結んだ底辺の長さは約1億5000万kmになる。ここで天体Xを挟む三角形の内角を測定すれば,天体Xまでの距離が計算で出る。この内角を「年周視差」と呼ぶが,角度は限りなくゼロに近いほど微小な値になる。(続く)

 

続きは現在発売中の5月号誌面でどうぞ。

 

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