高齢者向けのガジェット〜日経サイエンス2014年4月号より
ネット接続センサーの利用で自立した生活が可能に
新技術に飛びつくのはたいてい若者と熱心な人だと思われているが,典型的なハイテク好きではなく年配者向けに設計された機器が増えてきている。それもそのはずだ。米国勢調査局の予測によると,2010年から2050年の間に65歳以上の米国人は2倍以上に増える。
賢いセンサーとモニターをネットワーク化したシステムは,いわゆる「モノのインターネット」の一部をなし,医師や親族が離れた場所から高齢者に気をつけることを可能にして,お年寄りの自立に一役買ってくれるだろう。「高齢者を介護施設に移すのではなく,自宅で暮らしてもらうことを目指している介護者から,多くの関心が寄せられている」と,モノのインターネット・コンソーシアムの代表を務めるジョンソン(Jason Johnson)はいう。調査会社カロラマ・インフォメーションの予測によると, 2012年に106億ドルだった遠隔患者監視の市場が2017年には212億ドルに成長する見通しだ。
発売予定の新システムに「ライブリー」という名のセンサー・セットがある。これらのセンサーは戸棚や引き出し,電化製品に設置され,室内の人の活動パターンを追跡して,そのデータを家族などに送信できる。
目的が少し違う技術もある。高齢者のコミュニティーで暮らす人が家族に頼らずにすむよう支援するものだ。ヘルスセンス社が販売している「eネイバー遠隔監視システム」は住居内の至る所に設置したセンサーで人の動き(転倒を含む)を検知したり,ベッドで休むよう助言したりする。薬を服用する時間を知らせるほか,緊急時には救難連絡もしてくれる。
介護施設に入れられる不安は「老いに関して人々が抱いている最大の懸念」だとライブリーの最高経営責任者ファンロ(Iggy Fanlo)はいう。だが自宅での暮らしを支援する技術の登場で,高齢者は思った以上に長く自立した生活を送れるかもしれない。■
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