SCOPE & ADVANCE

BMIよりも優れた指標は?~日経サイエンス2014年1月号より

201401_025限界は明白ながら,そこそこ有用だ

 

 たった1つの数値から,健康状態がどれだけわかるのだろうか? ここ数年,肥満度を示すBMI(体格指数)を健康状態の予測変数として用いることの限界を指摘する研究が増えてきた。去る8月にScience誌に掲載された報告は,そうした研究の最新にして最も包括的な例だった。

 

 BMIは体重の値(kg単位)を身長(m単位)の2乗で割ったもので,19世紀にベルギーの統計学と社会学の研究者によって考案された。最近の研究が指摘しているように, BMIの値が正常でも代謝が異常な場合がある。身体が栄養を処理する方法に疾患を抱えている例があるのだ。例えばインスリン抵抗性と呼ばれる代謝異常が心臓病やアルツハイマー病などのリスクを様々な形で高めることが報告されているが,2008年に行われたある解析によると,BMI値が正常な人でも4人に1人近くは代謝が不健康だった。

 

 

限界を理解したうえで利用を

 反対に,BMI値が高くても代謝の状態が悪いとは限らない。体重過多の人の約半数は,代謝が正常だ。近年,米疾病対策センター(CDC)のフリーガル(Katherine Flegal)らは,BMIに基づいて過体重(ただし肥満ではない)に分類されている人たちは,BMIが正常値の人よりも全体として長生きする傾向にあることを発見した。ただしフリーガルは,この結果を拡大解釈してはいけないと警告する。そもそも,BMIに基づく少数のグループ分けによって人体の多様性をカバーしようとすることに無理があるのだ。

 

 例えば体脂肪が過剰につく場所を考えよう。腹部の脂肪は腕や脚の皮下脂肪よりもはるかに有害だ。より適切に分類するには,身長と体重に加え第3の指標を組み込むのがよいという考え方がある。腹囲を考慮したのがABSI(ボディシェイプ指数,体型指数)だ。身長・体重・腹囲を打ち込むと簡単に計算してくれるサイトがウェブ上にたくさんある。

 

 だが,BMIを捨て去る必要はない。大半の人々にとって,BMIは健康リスクを示す近似値としてそこそこ優れている。重要なのは,健康というものは肉体的健全性や食生活,喫煙習慣,環境,仲間など多くの事柄に依存しているということ,そしてそれらの大半が数値では表せないということだ。■

 

 

ほかにも話題満載!  現在発売中の1月号誌面でどうぞ。

サイト内の関連記事を読む