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さよなら超巨星~日経サイエンス2014年1月号より

子持ち銀河にある1個の超巨星の消失が確認され,2011年の超新星爆発の謎が解決した

 

 広大な宇宙では,その片隅でエキサイティングな現象が起きて人類が偶然にもそれを目撃できることがときどきある。3000万光年彼方にある「子持ち銀河」に近年出現した超新星がまさにそうだった。この美しい渦巻銀河で爆発した1つの星の光が2011年5月末に地球に届くと,ほどなくして世界中のアマチュア天文家から,この大事件の報告と画像が大量に届き始めた。

 

 天文学者たちはこの超新星SN2011dhが大質量星の崩壊によって生じたことをすぐに突き止めたが,最期を迎えたその大質量星がどんなタイプの星だったのかは謎として残った。何が起きたかを詳しく明らかにするにあたって,この子持ち銀河が以前からよく観測されてきたという事実が役立った。2005年にハッブル宇宙望遠鏡がこの銀河を詳細に調べており,その画像と2011年の画像を比較したところ,超新星が生じたちょうどその場所に,以前は平凡な黄色い超巨星があったことが明らかになった。

 

反論とそれに対する反論

 だが一部の天文学者は,そうした超巨星が崩壊したにしては超新星の温度が低すぎるように思えることを明らかにした。彼らのデータは消滅したのが超巨星ではなく,もっと小さな青い星であることを示していた。おそらく黄色い超巨星の非常に近くにあった星だ。「実際に爆発した青い星が黄色い星の陰に隠れていた,というのが私たちの推測だった」と,カリフォルニア工科大学の天文学者ヴァン・ダイク(Schuyler Van Dyk)はいう。

 

 しかし,ライバルの研究グループは別の結論に達した。英アイルランドにあるクイーンズ大学のマウンド(Justyn Maund)らは,ハッブルの画像で特定された黄色い星がまさに爆発したのだと推測した。だが2011年の時点ではどちらが正しいか誰も確かなことはいえなかった。超新星の明るい輝きがその領域全体を覆い隠していたからだ。

 

一件落着,そしてその後に続く物語

 去る3月には超新星の明るさがかなり落ち着き,ヴァン・ダイクらはハッブルを使って再びこの領域を観測した。彼らが驚いたことに,黄色い超巨星は消えていた。超新星となったのは結局のところ,やはりこの星だったことを示している。「マウンドらのチームが正しかった」とヴァン・ダイクは認める。彼が主執筆者となった論文はAstrophysical Journal Letters誌に掲載された。(続く)

 

 

続きは現在発売中の1月号誌面でどうぞ。

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