SCOPE & ADVANCE

人が振りまく細菌のオーラ~日経サイエンス2014年1月号より

201401_021室内環境の小さな居住者を明らかにする試み

 

 オレゴン州ユージーンのある涼しい日,オレゴン大学生物学・建築環境センターのポスドク研究員メドウ(James Meadow)はタンクトップにショートパンツという姿で,密閉された無菌室に入り込んだ。この無菌室はもとは冷蔵庫で,親しみを込めて「ピクルス・ボックス」と呼ばれている。メドウはトイレ休憩なしで4時間そこに座り,この間に12個のエアフィルターが彼の身体から発散する微生物を集めた。

 

  「机に向かって座っている人からどれだけの微生物が出ているか」。それを明らかにするのが目的だ。

 

 研究チームは空気中にあるものをこうして記録することで,換気と濾過を効果的に組み合わせた建物を設計し,居住者に最も健康的な空気を供給できるようにする計画だ。「人間が常に微生物に取り囲まれているのなら,最終的には国立公園を管理するのと同じように室内の生態系を管理することになるかもしれない」。

 

 ピクルス・ボックスから得られた予備的データは,分析によって1人の人間の存在を検知できることを示しており,個人差の検出も始まっている。建築環境は現時点で生態学的には未知の暗黒大陸だとメドウはいう。「深海の熱水噴出孔や対流圏,南極大陸の岩石にいる微生物のほうがずっとよくわかっている」。■

 

 

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