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現行規制は火星に過保護?~日経サイエンス2013年11月号より

微生物汚染の規制緩和を求める声が出ている

 

 火星を地球の微生物から守る必要があるか? 従来の一般的見解からすると答えは「イエス」で,宇宙法も同じ考え方だ。国連の宇宙条約は生命のいる可能性がある天体を地球の細菌によって汚染することを禁じている。

 

 しかし一部の研究者は異議を唱えている。火星はそれ自体でうまく調整を行うはずであり,現在の厳しい保護は科学探査の妨げになるという。生命体探索に特化したミッションの場合,惑星保護の処置のために費用が「2倍になってしまう」と,コーネル大学の宇宙生物学者フェアレン(Alberto G. Fairen)はいう。

 

 フェアレンとワシントン州立大学のシュルツ=マクチ(Dirk Schulze-Makuch)は最近のNature Geoscience誌で,火星の保護はその労力と費用に見合わないと主張している。何しろ,地球の細菌の一部はすでに火星にいるかもしれないのだ。古代の隕石衝突のかけらに乗って,あるいは最近では米航空宇宙局(NASA)のバイキング着陸船に付着して,地球の微生物が火星に達した可能性がある。さらに,それ以前から何らかの生命体が火星に存在していたなら,十分に適応していない侵入微生物を簡単に撃退したと考えられる。

 

NASAは慎重

 だが,NASAが姿勢を変える見込みは薄い。「地球以外のどこかで生命体を調べたいなら,地球のものを持ち込まないようにする必要がある」とNASAの惑星保護担当官コンリー(Catharine Conley)はいう。さもないと密航者を異星の生物と間違う恐れがあるからだ。

 

 コンリーの前任者ルンメル(John Rummel)は,地球の細菌が火星で生き延びる可能性がシミュレーションと実験から示唆されているという。「地球の生命体が実行できることについて全部わかっているわけではないのだ」。■

 

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