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新発見の奇妙な昆虫〜日経サイエンス2013年9月号より

大きな“はさみ”を持つ羽虫など2種が見つかった

 

 ブラジルでフィールド調査をしていた研究チームが大きな“はさみ”を持つフォーセプフライ(尾部に鉗子のような形の生殖器がある羽虫)の新種を発見した。この科に属する種はこれが3つ目だ。そしてコスタリカでは,新種のフェアリーフライ(ごく小さな羽虫)が発見された。体長250µm,肉眼では見えない世界最小級の昆虫だ。

 

 テキサスA&M大学の昆虫学者マチャード(Renato Machado)らは,薄金色をした新発見のフォーセプフライを2月にZooKeys誌に報告した。生息地がブラジル南東部のアトランティックフォレスト近くであることから,アウストロメロペ・ブラジリエンシス(Austromerope brasiliensis)と命名した。この夜行性で謎の多いフォーセプフライの生態はほとんど何もわかっていない。どんな生活をし,何を食べ,どのように交尾し,幼虫がどんな姿をしているのか,一切わかっていない。おおかたの研究者は,オスは尾についている非常に大きな鉗子でメスを挟んで交尾したりライバルのオスと戦ったりするのだろうと推測している。

 

(L) Merope tuber. Credit: Renato Machado et. al. (R) Tinkerbella nana. Credit: John T. Huber et. al.

 

 一方,カナダ天然資源省のフーバー(John Huber)とロンドン自然史博物館のノイズ(John S. Noyes)は,新種のフェアリーフライをピーターパンに登場する妖精と犬の名前にちなんでティンカーベラ・ナナ(Tinkerbella nana)と名づけた。偶然にも,ナナはギリシャ語で「小人」を意味するナノスに由来する。フーバーらは,このフェアリーフライの黄,茶,白を含む薄い色合いと,大剛毛という細く長い剛毛で覆われた羽について,4月のJournal of Hymenoptera Research誌に報告している。フェアリーフライは滞空中に毎秒数百回も羽ばたいており,このタイプの羽は空気中で受ける抵抗や乱流の影響を減らしているのだろうという。

 

 ティンカーベラ・ナナは新しい属に分類されるにふさわしい特徴を十分に備えているが,世界最小の有翅昆虫として知られるキキキ・フナ(Kikiki huna)と非常に近い関係にある。キキキ・フナの体長は158µmで,羽のある昆虫のサイズとしてはほぼ最小限界だ。「もしキキキ・フナが発見されていなかったら,昆虫を含む節足動物で最小のものを発見したといえたに違いない」とフーバーは述べている。■

 

この記事はSCIENTIFIC AMERICANのブログ「ランニング・ポニーズ」(blogs.ScientificAmerican.com/running-ponies)より。

 

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