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惑星を探る紫外線宇宙望遠鏡〜日経サイエンス2013年9月号より

8月打ち上げ予定のSPRINT-Aは惑星観測に特化した世界初の紫外線望遠鏡だ

 

 地球や木星,金星などは太陽の強大な重力の下で運動している。太陽が惑星に及ぼす影響は重力以外にもある。太陽から吹き出る電離ガス(プラズマ)の流れ「太陽風」だ。惑星は常に太陽風にさらされ,惑星の大気圏や磁気圏は太陽風と相互作用している。その様子を探る宇宙望遠鏡「SPRINT-A」が8月22日にも鹿児島県大隅半島の内之浦から打ち上げられる。

※その後,JAXAの発表により打ち上げは9月14日午後1時45分に延期。

 

 SPRINT-Aは特に波長が短い極端紫外線をとらえる宇宙望遠鏡だ。惑星の大気や太陽風などのプラズマは一般的に可視光では見えないが,極端紫外線領域でそれらを観測すると組成や分布がわかる(大気や太陽風を構成する原子や分子はそれぞれ固有の波長の極端紫外線を吸収・放射している)。ただ地球大気は宇宙からやって来る極端紫外線を吸収するので地上の望遠鏡では観測できない。そのため宇宙望遠鏡が必要になる。宇宙からのX線やガンマ線,赤外線なども地球大気に吸収されるので,それぞれ宇宙望遠鏡が多数打ち上げられているが,SPRINT-Aのように惑星観測に特化した極端紫外線の宇宙望遠鏡は世界で初めてだ。

 

JAXA

 

木星と金星がターゲット

 SPRINT-Aは全長4m,340kgの小型科学衛星で,太陽電池パドルの両翼を展開した状態での大きさは約7m(左の写真はパドルを畳んだ状態。機体中央の筒状部分が望遠鏡)。高度が950~1150kmの楕円軌道(赤道面からの傾きは約30°)を一周2時間弱で周回しながら木星や金星などに望遠鏡の筒先を向ける。

 

 望遠鏡は口径20cm,焦点距離1.6m。集めた光は分光器と視野ガイドカメラに送られる。視野ガイドカメラは広い視野を持ち,得られた画像をもとに望遠鏡の筒先を±5秒角の精度で惑星に向け続けられるように向きを制御する。ちなみに木星の最大視直径は約50秒角,金星は約60秒角だ。観測装置となる分光器は,望遠鏡の視野内の特定領域(スリットを用いて切り出す)の極端紫外線について波長ごとの強さを調べる。(続く)

 

続きは現在発売中の9月号誌面でどうぞ。

 

 

 

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