きょうの日経サイエンス

2013年1月21日

尊厳死を問う。「この生命誰のもの」

 

 尊厳死について真正面から取り組んだ劇団四季の演劇「この生命誰のもの」を観劇しました。

劇団四季といえば、「キャッツ」、「ライオンキング」、「オペラ座の怪人」などの大作ミュージカルで有名ですが、この「この生命誰のもの」は、ミュージカルではなく、音楽すら一切ない、台詞劇(ストレートプレイ)でした。

 

 

 舞台は、とある総合病院の集中治療室。一台のベッドに横たわるのは、交通事故で重傷を負い、脊髄を損傷して首から下が麻痺した一人の男性患者。物語は、この患者をめぐり、担当の研修医(女医)、主治医の部長医師、精神科医、病棟看護婦長、看護学生、看護助手、弁護士、判事などが、それぞれの立場で、この患者と接し、対話し、進行していきます。

 

 

写真提供:劇団四季、撮影:上原タカシ

 

 この舞台では、自殺や安楽死と尊厳死は、明らかに違うということが明確に示され、人間の尊厳とは何か、尊厳死は許されるのか、患者の死ぬ権利とは何かを、明確な台詞とともに、静かに、深く、問いかけてきます。答えは、この舞台を見た観客、一人、一人が考えることになります。

 人間は生まれながらにして自由な存在で、自由に生きる権利があります。尊厳死とは、生きることを放棄するのではなく、自らの意志により、己れ自ら生命を断つことで自由な存在としての自己の人生を全うすることかも知れません。

 

 

 この舞台の初演は1979年ですが、尊厳死については、その当時よりも医療技術が高度に発達した今も、社会的な倫理の問題、法的な問題などを抱えた重要なテーマです。これからご覧になる方のために、エンディングには触れませんが、望みが叶うことになった主人公の患者が、最後に静かに語る言葉に打たれました。

 

 

 

公演情報:主催劇団四季

公演期間:1月20日(日)〜2月3日(日)

会場:劇団四季自由劇場

  (東京都港区浜松町)

上演時間:2時間40分

観劇料:4,000円(全席指定)

 

お問い合わせは:劇団四季東京公演本部

03-5776-6730

 

 

 

 

 

写真提供:劇団四季、撮影:上原タカシ

 


キーワードをGoogleで検索する

尊厳死