お行儀よくしなさい!〜2008年1月号臨時増刊 こころのサイエンス03号
衝動を抑えられる子は学校の成績が良い
子どもの学業成績を左右するのは知能だと,ほとんどの人は考えている。ところが,ペンシルベニア州立大学のチームによる最近の研究から,自己制御の能力(課題に集中して衝動的な行動を抑えるなど)のほうが幼少時の学業成績には重要なことがわかった。
研究は3歳から5歳の子どもに的を絞ったもので,就学前児童の自制能力が幼稚園での算数と本読みの成績の最も優れた予測因子であることを示した。知能テストの点数と学業成績との相関はさほどでなかった。
子どもが自分の思考と行動を調整する能力は,小学校に上がる前に急速に発達する。この研究を率いた心理学者クランシー・ブレアは,今回のデータは自己制御を重視した幼児教育プログラムを具体的に支持するものだという。「子どもたちに調和の取れた活動をさせて衝動と刹那的な欲求充足を抑え,自分と他者の考えや気持ちに配慮するよう促すようなカリキュラムが必要だ」。
わが子の就学を前に万全を期したいと望むなら,子どもに他人と交代で何かをする,ある程度は集中し続ける,思慮深い応答をしたらご褒美を与えるといった体験をさせるべきだと,研究チームは述べている。