SCOPE & ADVANCE

アミロイド病に同じ治療法?〜2008年1月号臨時増刊 こころのサイエンス03号より

共通のタンパク質分子サブ構造が見つかった

 

 アルツハイマー病,パーキンソン病,ハンチントン病,クロイツフェルト・ヤコブ病,さらには2型糖尿病──共通の特徴をご存じだろうか?これらの病気の患者は体内に「アミロイド線維」という奇妙な形のタンパク質集合体ができる。ねじれた長いリボンのような形だ。

 

 線維を構成するタンパク質は疾患によって異なる。しかし,どのタイプの線維にも共通する特徴が最近の研究で見つかった。小さな分子の土台があり,それが線維形成の“タネ”となるとともに,線維どうしを結びつけている。

 

 こうした土台は,アミロイド線維ができるようになった異常な酵母のなかにカリフォルニア大学ロサンゼルス校の化学者デイビッド・アイゼンバーグらが発見していた。その構造は既知の他のタンパク質構成と違って,線維に対して垂直に伸びる防水性ジッパーに似ている。アイゼンバーグらはその後,ヒトのアミロイド病8種類に伴って生じた30種類の“ジッパー”を結晶化し,X線で構造を調べた。

 

 「線維を構成するタンパク質は実にさまざまなのだが,原子レベルでの構造はどれも非常によく似ている」とアイゼンバーグはいう。

 

 アミロイド線維がこれら病気の症状を引き起こす原因なのか,それとも病気に伴う副産物にすぎないのかはまだ不明だが,多くの専門家は,線維の形成を防げば病気の進行を止められると考えている。

 

 一連の発見で,タンパク質分子のどの部分が線維形成を引き起こすかが突き止められ,この位置が多くの病気に共通していることが示されたわけで,これまでに知られているヒトのアミロイド病25種の治療に近づいたといえる。このジッパーに結合する化合物を使えば,アミロイド病にかかるリスクの高い人を早期に特定できるだろうとアイゼンバーグはいう。そうした人に,新たなジッパーの形成を防ぐ別の薬を投与すれば治療できる。「大きな前進だ」。