SCOPE & ADVANCE

高潮予想アプリ〜日経サイエンス2012年8月号より

ハリケーンに伴う被害予測に有効

 

 嵐がやってきたとき,その地域にどの程度の洪水が生じるかを予測するのは非常に難しい。そこで,ウェスタンカロライナ大学の研究者が率いるチームは,そうした予測に役立ちそうなウェブサイトとスマートフォン向けアプリを開発した。大西洋岸とメキシコ湾岸の3400カ所以上について,過去65年間の高潮に関するデータを収集した。今年のハリケーンシーズンが始まるまでに利用可能にする予定だ(詳しくはhttp://stormsurge.wcu.eduを参照)。

 郵便番号を入力すると,当該地域で発生したすべての高潮を地図上で確認できる。それらの洪水を引き起こしたハリケーンの移動経路のほか,風速や気圧など,高潮のレベルに影響を与えた可能性のある他の特徴も表示される。

 このデータベースは研究チームによって現在も構築中だが,最終的には米海洋大気局(NOAA)の国立気候データセンターによって維持・運営される予定だ。ウェスタンカロライナ大学チームの一員であるピーク(Katie McDowell Peek)は,この情報を詳しく解析することで,沿岸部の海底の傾斜など嵐とは無関係の要因が高潮にどう影響するかについて理解が深まるだろうという。また,嵐の予想進路と強さを過去に同じ沿岸を襲ったハリケーンと比較することで,嵐の影響をより正確に予測できるようになる可能性がある。

 

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