ママのおかげで男になった〜日経サイエンス2012年4月号より
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母と一緒に過ごすオスザルはメスにもてる?
母親べったりの男性が女性とデートできる見込みは低いかもしれないが,キタムリキというサルの場合は,母親と一緒に行動するオスのほうが交尾の成績が良好なようだ。
米国科学アカデミー紀要に発表されたこの発見は,いくつかの生物種ではメスが息子の生殖を成功させるために重要な役割を果たすよう進化してきた可能性を示している。論文の主執筆者であるウィスコンシン大学マディソン校の人類学教授ストライヤー(Karen Strier)は,人間の女性は子どもや孫を助けるために生殖年齢を過ぎた後も長生きするという「おばあさん仮説」を「拡張するものだ」という。
ストライヤーらの研究チームは,ブラジル大西洋岸に広がるアトランティックフォレストの自然保護区にいる67頭のサルの群れ(子ザル,母ザル,繁殖可能なオスザル)を観察し,遺伝子データを収集した。調べた13頭の大人のオスのうち6頭は,母親のそばで過ごす時間が有意に長かった。そしてこの6頭は,平均すると,もうけた子の数が最も多かった。
なぜだろうか。研究チームは現在も理由を追い続けている。(続く)
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