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謎の蜂群崩壊に手がかり〜日経サイエンス2012年4月号より

ある種の寄生バエが関与している可能性

 

PLoS One

 それらの死んだハチたちは,研究室で飼われているカマキリの餌になるはずだった。サンフランシスコ州立大学の生物学教授ハファーニック(John Hafernik)が,キャンパス周辺の街灯の下で山のようになって死んでいたセイヨウミツバチ(Apis mellifera)を集めてきた。「だがガラス瓶に入れて机の上に置いたまま,うっかり忘れてしまった」という。

 間もなく彼は仰天した。「次にガラス瓶を見ると,ハエのさなぎがハチの死骸をびっしり覆っていた」。寄生バエの一種Apocephalus borealisがハチの体に卵を産みつけていたので,孵化した幼虫がハチの体を乗っ取ったのだ。

 このハチの死骸の山は,蜂群崩壊症候群の原因を探る新たな手がかりとなった。蜂群崩壊症候群はハチのコロニーが集団死する謎の現象で,米国では数年前から,多くの重要作物の受粉に欠かせないミツバチの数がこのために減っている。ハファーニックのハチに取り付いていたのと同じ寄生バエが,米国の他の地方でもミツバチに寄生している例が見つかった。詳細は1月のPLoS ONE誌オンライン版に発表された。

 

ミツバチへの寄生は最近?

 このハエはマルハナバチやスズメバチに寄生することが知られていたが,ミツバチを標的にするようになったのはごく最近だろうとハファーニックはみている。「ミツバチは世界で最もよく研究されてきた昆虫であり,昔から寄生関係にあったのならとっくに気づいていたはずだ」。

 この寄生バエはハチの腹部に卵を産みつける。数日後,寄生されたハチは1匹ずつ巣から出て(夜間のことが多い),あてもなしにどこかへ飛んでいく。明かりに向かっていくことが多く,最終的には自分の体をコントロールできなくなる。ハチが死んだ後,頭の付け根のあたりから13匹ものハエの幼虫が這い出してくる。(続く)

 

続きは現在発売中の4月号誌面でどうぞ。

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蜂群崩壊症候群