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ひとりで歩く分子〜日経サイエンス2006年2月号より

 

 人間が歩くのと似た要領で,平面上を自らまっすぐ移動する分子が初めて作り出された。

 

 この分子は9,10-ジチオアントラセン(DTA)といい,コールタールの誘導体に1対の硫黄有機化合物が結びついている。銅の板の上に置いて熱を加えると,硫黄有機化合物の部分が交互に動き,一度に片方だけが表面から離れて持ち上がった。小さな探針を使って分子を押したり引いたりしても,基板表面にくっついた“足”のおかげで,分子がよろけたりコースから外れたりすることはなかった。

 

 補助のレールや溝がなくても一度もバランスを失わず,およそ1万歩を“歩んで”みせた。実験にあたったカリフォルニア大学リバーサイド校の研究者たちは, 今回のDTAや同種の分子を使えば“ナノのそろばん”を設計でき,いわゆる分子コンピューターの実現につながると考えている。詳細はPhysical Review Letters誌2005年10月14日号に。

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