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日本最大の断層 関東平野地下にも確認〜日経サイエンス2006年4月号より

 九州から関東山地まで続く日本最大の断層「中央構造線」が,関東平野の中央付近の地下まで達していることを早稲田大学,産業技術総合研究所,防災科学技術研究所のチームが突き止めた。大きな地震を引き起こす活断層の可能性は低いとみられるが,今後関東近辺で起きる地震発生メカニズムの研究にも影響が出てくるとみられる。

 

 特定した中央構造線は,埼玉県東松山市から越谷市の地下深部を約30kmに渡って通っていた。1971年にさいたま市岩槻区の地下3510mから採取した岩石について化学組成を分析した結果,この岩石が領家帯という中央構造線の南限に位置する岩石と一致した。

 

 

マイロナイトも確認

 

 さらに鉱物の中に,マイロナイトと呼ばれる結晶があることも発見した。マイロナイトは,約300℃以上ある地下深部の断層運動によって変形を受けた変成岩の一種。水飴のように流動する石英が,長石や角閃石などの鉱物を取り囲む構造を持っているのが特徴だ。

 

 紀伊半島や中部地方では,マイロナイトが中央構造線の北側1km以内の領家帯に存在している。マイロナイトの石英粒子の大きさ(粒径)は中央構造線に近づくにつれて,小さくなる傾向がある。研究チームは,今回調べた岩石の中の石英粒の粒径から「岩槻の岩石があった場所から南側約500m以内に中央構造線が存在すると判断できる」と結論づけた。

 

 中央構造線は,西日本を縦断して約1000kmに達する大断層。中部地方や四国・近畿地方の一部では地震を起こす活断層として知られている。関東平野は厚い堆積層に覆われているため,その下の基盤にある断層については調査が進んでいない。これまでの研究では中央構造線は関東山地の比企丘陵まで延びていることが確認されていた。

 

 研究チームは,既存の活断層と中央構造線の関係を調べることで,関東平野の地震対策につながるとみている。

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