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適度の飲酒,効果なし?〜日経サイエンス2006年8月号より

 この食べ物は健康によい──といった研究報告はいろいろあるが,それを否定する研究もある。そんな矛盾した話を聞くと,健康に気を遣っている人々は血圧が上がらないまでも混乱するに違いない。

 

 適度の飲酒に心臓病死を防ぐ効果があるとする54件の調査研究がこのほど再検討された。その結果,ほとんどの調査が酒を飲まない人と,かつては飲んでいたが後に止めた人をいっしょくたに扱っていた。飲酒を止めたのは健康上の理由かもしれず,この集団の健康状態を示すポイントを引き下げていた可能性がある。一方,両者を区別していた7つの研究では,アルコールの保護作用を認めたものは1つもなかった。さらに,他の公表データを再編して飲酒者とかつて飲酒していた人をまとめて見ると,プラスの効果は消えた。

 

 5月に発表された報告書「中毒研究と理論」に掲載。しかし,同報告書の共同執筆者であるカリフォルニア大学サンフランシスコ校のフィルモア(Kaye Fillmore)は,生理学的なデータは飲酒がやはり多少の役に立つことを示していると指摘する。はっきりさせるには,今後の研究によって飲酒履歴を解きほぐす必要があるという。

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