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エタノールよりもバイオディーゼル燃料〜日経サイエンス2006年11月号より

石油に代わる“再生可能燃料”として,主に大豆から作られるバイオディーゼル燃料や,トウモロコシの粒から蒸留されるエタノールがある。ミネソタ大学の研究者たちは,両者についてエネルギー利得と環境への影響を初めて総合的に調べ,バイオディーゼルのほうが優れているという結論を出した。
トウモロコシの粒から得られるエタノールは,製造のために投入したエネルギーよりも25%多いエネルギーを生み出すだけだが,大豆から得られるバイオディーゼル燃料の場合は同93%多くなる。温暖化ガスの発生は,化石燃料と比較してエタノールが12%少ないのに対して,バイオディーゼル燃料は41%も少ない。さらに大豆は窒素とリンの発生量が少なく,殺虫剤汚染も少ない。
ただし,いま米国で生産されているトウモロコシと大豆をすべてバイオ燃料に振り向けても,ガソリン需要の12%とディーゼル需要の6%をまかなえるだけだ。米国中西部に広がるプレーリーの草を利用するほうがずっと多量のバイオ燃料を供給でき,環境面での利益も大きいだろう。米国科学アカデミー紀要オンライン版7月12日号に報告。

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