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前景銀河の謎〜日経サイエンス2006年12月号より

 クェーサーに望遠鏡を向けると,平均して4つに1つの割合で手前に「前景」銀河が見つかることになる──これは天文学者の間ではよく知られた話だ。宇宙は一様なので,例えばガンマ線バーストを観測した場合も,前景銀河の数は同じはず。ところが現実はどうも違うらしい。

 

 カリフォルニア大学サンタクルーズ校のプロチャスカ(Jason X. Prochaska)は,ガンマ線バースト天体については前景銀河の存在割合が平均で15個に1つであることを明らかにした。少なからぬ論議を呼んでいるこの論文が正しいとすると,これまでは前景ガスの重要な特徴を誤解していたことになり,宇宙論に深刻な問題が生じる可能性がある。このガスに基づいて,初期銀河の組成や,宇宙の物質の90%を占める暗黒物質の分布などを推定しているからだ。

 

 前景銀河は予想以上に多くの塵を含んでいて,一部のクェーサーを隠しているのかもしれない。明るいガンマ線バーストに注目するあまり,暗いものを見逃しているのかもしれない。もしかすると,前景銀河だと思われたのは実はガンマ線バースト天体そのものから出たガスなのかもしれない。Astrophysical Journal Letters誌9月20日号に掲載。

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