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地球の歳差運動と種の興亡〜日経サイエンス2007年2月号より

 化石の記録によると,哺乳類の種の寿命はそう長くはなく,平均で250万年ほどらしい。ユトレヒト大学(オランダ)のファン・ダム(Jan van Dam)らは2200万年間にわたる齧歯(げっし)類の歯の化石を調べ,齧歯類の種が地球軌道の変化とぴったり一致する周期で興亡していることを突き止めた。
 地球の公転軌道は楕円から円へ,また楕円へと周期的に変化している。また,自転軸の傾きも周期的に変動している。両者が組み合わさり,地軸の傾きが小さくて季節変化がなく,気候変動も小さい期間が生じた。「こうした変化が既存の齧歯類の生息環境を破壊するか,新種の齧歯類が栄えるチャンスを生み出したのだろう」とファン・ダムはいう。
 Nature誌2006年10月12日号に掲載。

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