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数減らしても量減らず〜日経サイエンス2007年5月号より

 

 喫煙者がタバコの本数を減らしても,有毒物質の吸入量を減らすことにはならないようだ。ミネソタ大学のハツカミ(Dorothy Hatsukami)らによる最近の調査によると,ヘビースモーカーがタバコの本数を減らしても,1本あたりの有毒物質吸入量はふつうの喫煙者に比べると2倍以上になる。ヘビースモーカーは本数を減らすと,低下したニコチンの量を補おうとして,同じ1本でも深く吸い込むか,タバコの根本まで吸い切るようになるらしい。

 

 この結果は,節煙しても健康リスクは減らないという過去の疫学研究を裏づける。「要は,節煙では健康上の利益は何もないということ」とハツカミはいう。喫煙者がガンや病気のリスクを減らしたいと考えるなら,「禁煙する必要がある」。Cancer Epidemiology, Biomarkers and Prevention誌2006年12月号に掲載。

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