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ラットはじっくり考える〜日経サイエンス2007年7月号より

 

 ラットは複雑な思考をする。かつてはヒトなど霊長類に特有と考えられていた「メタ認識」という思考──すでに知っている事柄に基づいて熟考する能力だ。

 ジョージア大学の研究チームは,ラットに試験を受けるかどうかを選ばせた。試験に合格すればご褒美に餌をたくさんもらえるが,失敗すると何ももらえず,そもそも試験に挑戦しないなら少しだけ餌をもらえる。

 試験ではラットにさまざまな長さの音を聞かせるのだが,あらかじめ,音を長短に応じて分類できるようにラットを教え込んでおく。2~3.6秒続く音は「短い音」で,4.4~8秒続くなら「長い音」だ。

 例えば4.4秒続く音など,判断が難しくなるほど,ラットは試験を避けるようになった。つまり,自分が試験にパスするかどうかの見込みを判断できているようだ。

 メタ認識はこれまで考えられていたよりももっと広い生物種に見られるのかもしれない。Current Biology誌3月20日号に掲載。

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