もつれた光子を長距離伝送〜日経サイエンス2007年7月号より
「量子もつれ」というリンクの長さが伸び続けている。最新の実験では,スペイン領カナリア諸島の2島間の距離にまで伸びた。
2個の光子が量子もつれ状態になると,光子間の距離がどれだけ離れていても,片方の光子に起きたことが瞬時にもう片方の運命を決める。ウィーン大学のザイリンガー(Anton Zeilinger)らは,カナリア諸島のラパルマ島でレーザーを使って2個1組の光子をもつれさせ,そのうちの片方を発射して144km離れたテネリフェ島にある望遠鏡でとらえた。
量子もつれ状態の光子を空気中で飛ばした距離としては,これまでの10倍にあたる最高記録だ。こうした光子を使えば,解読や盗み見の不可能な暗号メッセージの送信が可能になるだろう。3月に開かれた米国物理学会で報告された。