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ビールの泡の数学〜日経サイエンス2007年9月号より

 55年前,天才数学者フォン・ノイマン(John von Neumann)は表面張力がかかる2次元領域(泡など)の面積は辺の数に応じて変わることを証明した(辺の数が5以下なら収縮,7以上では増大,6ならそのまま)。それ以降,物理学者はこれを3次元の場合に拡張しようと奮闘してきたと,イェシーバー大学の材料科学者スロロビッツ(David J. Srolovitz)はいう。例えば微小な結晶粒子が3次元の立体として成長するようなケースだ。 
 スロロビッツとプリンストン高等研究所のマクファーソン(Robert D. MacPherson)は最近,3次元(またはそれ以上)の場合に張力がもたらす体積変化を表す式を導いた。「平均幅」という抽象的な量を用いたのがポイント。平均幅は面積や体積などと同じく,ある領域のサイズを表す指標だが,直観ではとらえられない量だ。領域がどんな形であっても定義でき,サイズを長さの単位で表す。 
 刻々と姿を変えつつ成長する結晶粒子の塊にこの結果を適用すれば,より丈夫な材料を作り出せるかもしれない。また,泡粒の集合体に適用すれば,ビールを注いだ際の泡を最小限にできるかも。「ビールの泡の一粒一粒がどう変化するか,基本的にはこの式でわかる」とスロロビッツはいう。Nature誌4月26日号に掲載。

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