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清潔なら長生きとは限らず〜日経サイエンス2007年12月号より

 病原性のない細菌も宿主のエネルギーを吸い取って死期を早める──と,これまでは考えられてきた。だが新しい研究結果によると,きれいさっぱり細菌を洗い流されたハエは,細菌うじゃうじゃのハエと比べて長生きするわけではない。

 

 ハエもヒトも,年齢とともに体の内外に多くの細菌がすみつくようになるので,これらの細菌は宿主の資源を消耗させて有害に働くと考えられていた。そこで,南カリフォルニア大学の科学者たちは通常のショウジョウバエと“超清潔”ショウジョウバエを比較した。抗生物質で滅菌した卵から生まれ,無菌環境で育て,餌も消毒ずみのものを与えたハエだ。驚いたことに,両者とも寿命は約65日で同じだった。

 

 より高度な生物では,適切な消化などのために細菌が必要なため,同様の実験はできないが,研究チームは今回の結果が動物の寿命を制限している要因を絞り込むのに役立つとみている。Cell Metabolism誌8月8日号に掲載された。

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