サルよりお利口〜日経サイエンス2008年2月号より
おチビちゃんの勝ち──2歳児のほうが,おとなのチンパンジーやオランウータンよりも社会的にずっと分別があることがわかった。身体を使う作業ではほぼ同程度の器用さを示したが,社会的な課題となると,人間の子どもが2倍優秀だった。
例えば筒のなかから食べ物を取り出すテストをしたところ,人間の子どもは実験者をお手本にして,あっという間に食べ物を取り出した。だが,チンパンジーやオランウータンは,容器を何回もかじったり引っかいたり殴ったりしたが,ほとんど無駄に終わった。
この発見は,ヒトが他の類人猿よりも優れた認識力を持つようになったのは脳が3倍大きいからだという「一般的知性仮説」と矛盾する。むしろ,高度な社会的技能は集団や文化圏のなかで情報交換を必要としたヒトに特有なのだという「文化的知性仮説」を支持する。Science誌2007年9月7日号に掲載。