糖が骨を丈夫に〜日経サイエンス2008年3月号より
甘いお菓子は歯に悪いが,糖は骨を丈夫にするうえで大切らしい。骨の並はずれた強靱さは,有機物と無機物がしっかり入り組んで並んでいることによる。こうした構造を直接制御しているのはコラーゲンなどのタンパク質だと長らく考えられてきたが,最近,むしろ糖が重要だとわかった。グリコサミノグリカンやプロテオグリカンなどの多糖だ。
ある研究チームがウマの骨の核磁気共鳴画像をもとに,多糖が骨のミネラル分の適切な結晶化を導いていると結論づけた。骨の形成過程をより詳しく理解すれば,骨粗鬆症や変形性関節症などの治療法を改善できるほか,人工骨の新製法にもつながるだろう。
また,この研究は,骨の痛みを抑える薬として市販されているコンドロイチンなどの根拠を強めるものともいえそう。コンドロイチンはグリコサミノグリカンの1種だ。Chemistry of Materials誌2007年10月16日号に掲載。