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真菌カウボーイ〜日経サイエンス2008年4月号より

 1億年前の琥珀のなかから,これまでで最古の肉食菌類が見つかった。この真菌,どうやら粘着性の輪を使って虫を捕らえていたらしい。現代の肉食菌類には収縮する輪などの突起があり,これによって獲物をつかまえているが,こうした“投げ縄”がいつ進化したのかははっきりしていなかった。
 太古に海沿いの熱帯林だった南西フランスから発掘された琥珀に,真菌の化石と,その獲物とみられる線虫が含まれていた。この肉食菌類は枝分かれした糸状の構造を持ち,その糸には小さな輪がついている。輪には微粒子が付着しており,これらの輪が粘着性だったことをうかがわせる。
 輪の近くに何匹かの線虫が見つかり,線虫の直径と輪の直径がほぼ一致していたことから,線虫は真菌の獲物であったと思われる。投げ縄にかかった線虫の体内に真菌の糸状組織が侵入し,線虫をむさぼり食ったのだろうと,独フンボルト大学(ベルリン)などの科学者たちは推測している。肉食菌類の起源はかなり古いようだ。Science誌2007年12月14日号に掲載。

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