SCOPE & ADVANCE

利益のために漁獲削減〜日経サイエンス2008年4月号より

 世界の漁業を崩壊寸前に追い詰めている利益追求の動機が,救いの手にもなる可能性がある。オーストラリア国立大学(キャンベラ)とワシントン大学(シアトル)の経済学者たちは4つの漁業水域について,短期的に漁獲量を抑えると長い目で見て漁業の利益が増加すると結論づけている。魚の数が増えれば,捕獲にかかる費用が減るからだ。
 ただし,問題もある。漁業資源回復のために漁獲を減らしたのと同じ人が,漁獲費用低減の恩恵を受けなくてはいけないから,何らかの排他的規制が必要になる。さらに,現在は採算が合わないために漁をしていない人が,後から漁に加わることは許されない。
 各漁業者に「譲渡可能な割り当て」を発行することで,許容可能な総漁獲量を配分できるだろうと経済学者たちは考えている。アラスカ州やニュージーランドの当局がそうしたシステムを試行し,有望な結果を得ている。Science誌2007年12月7日号に掲載。

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