鉄のように丈夫な紙〜日経サイエンス2008年10月号より
何だかんだいっても,紙が時代遅れになることはなさそうだ。最近開発された新種の紙は鋳鉄よりも破れにくい。
セルロース繊維からできた材料には非常に強いものもあるが,一方ではもろく,引っ張ると簡単に破れてしまうものもある。ストックホルムにあるスウェーデン王立技術研究所の研究者たちはこのほど,非常に丈夫な「ナノペーパー」を考案した。まず,木材パルプを酵素で処理して粉末化。一般の紙は直径が数十μmの繊維からできているが,ナノペーパーではセルロース繊維がねじれてもつれ合い,直径10~40nmのごく細い糸になっている。引張強度が大きいのは,これらがクモの巣状の構造となっていることと,繊維が互いに密着していることで説明がつきそうだ。
建設材料として使えそう。この紙の製法はBiomacromolecules誌6月9日号の紙面に印刷されている。