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その提案,話にならん!〜日経サイエンス2008年10月号より

 気分に影響する脳内化学物質セロトニンは,不公平に直面した際の行動もコントロールしているようだ。
 人体がセロトニンを作るにはトリプトファンというアミノ酸が必要だが,英ケンブリッジ大学の研究グループは被験者にこの成分を欠いたアミノ酸カクテルを与えて,セロトニンを低下させた後,「最後通牒ゲーム」をしてもらった。ある金額を2人で分けるのだが,一方が配分の提案者となり,他方はその提案を受諾するかどうかを決める。提案が不公平で納得できなければ拒絶してもよいが,その場合は2人とも何ももらえない。
 実験の結果,セロトニンが欠乏している人は提案を拒絶しがちになることがわかった。例えば自分の分け前が総額の20%の場合,セロトニンが欠乏している人は82%が拒絶し,通常の拒絶率67%よりも高くなった。Science誌オンライン版6月5日号に掲載。

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