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温暖化で腎臓結石が多発〜日経サイエンス2008年11月号より

 テキサス大学ダラス校のブリコウスキー(Tom H. Brikowski)らによると,地球温暖化につれ,21世紀は腎臓結石を患う人が増えるという。

 

 結石は尿中に溶けている無機物が結晶化したもので,身体の水分が損失するとできやすくなる可能性がある。そうした脱水は気温が高いところで起きやすい。例えば米国南東部での発症率は北西部に比べて50%高く,砂漠地帯に派遣された米国兵士のなかには着任後わずか90日で結石を患った者がいる。

 

 米国の平均気温上昇の予測値(今世紀中に2~5℃)を考慮すると,2050年までに米国の腎臓結石患者は160万~220万人増えると考えられる。率にして7~10%の増加で,13億ドル(約1400億円)の医療費負担を強いられる恐れがある。米国科学アカデミー紀要7月15日号に掲載。

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