SCOPE & ADVANCE

温室効果テレビ?〜日経サイエンス2008年11月号より

 テレビを見るのは子どもによくないかもしれない。そして,テレビを製造するのは地球の気候によくないかもしれない。

 

 平面ディスプレーのテレビを製造する際に,三フッ化窒素という物質が使われる。強い温室効果を発揮するガスだが,京都議定書の排出規制対象にはなっていない。議定書が採択された1997年当時には使用量がごく少なかったためだ。

 

 しかし,平面テレビや他のデジタル機器の販売は爆発的に増えており,製造工程での三フッ化窒素回収が不完全なこともあって,問題が生じかねないと,カリフォルニア大学アーバイン校のプレイザー(Michael J. Prather)とシュー(Juno Hsu)は警告する。大気中にどの程度の三フッ化窒素が存在するのか,さらに詳しく調べるよう提案している。

 

 

大気中での三フッ化窒素の寿命 550年

 

二酸化炭素に比べた温室効果の強さ
メタン 25倍
三フッ化窒素  1万7200倍

 

三フッ化窒素の2008年の予想生産量 4000トン
二酸化炭素換算で6700万トン

 

製造工程で大気中に漏れたままになる三フッ化窒素の割合 2~3%

 

二酸化炭素の年間排出量(2005年) 151億2800万トン

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