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消えゆく哺乳類 〜日経サイエンス2009年2月号より

 世界の5487種の哺乳動物を調査した最新の結果から,その4種に1種が絶滅の危機に瀕していることが明らかになった。個体数では哺乳類のなかで最多であるコウモリにも,危機的な種がいくつかある。
 国際自然保護連合(IUCN)は,世界で少なくとも1139種の哺乳動物が絶滅の危機に瀕しており,全哺乳類のうち52%の種で個体数が減りつつあると結論づけている。なかでも南アジアと東南アジアが最も危機的だ。主に森林破壊と狩猟によって,アジアゾウなど陸生の哺乳動物が急激に減少している。最も危機的な海生哺乳動物はメキシコのカリフォルニア湾に生息するコガシラネズミイルカなどで,魚網や船との衝突,海洋汚染の犠牲になっている。
 保護の取り組みによって危機から脱したクロアシイタチなどの例も一部にあるが,動物種の保全を長期にわたって実現するには根本的な問題を解決する必要があるとIUCNは警告している。Science誌2008年10月10日号に掲載。

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