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王朝を左右した気候〜日経サイエンス2009年3月号より

 9世紀後半,中国は干ばつによる凶作で飢饉に見舞われ,3世紀続いた唐王朝が倒れた。これは気候変動が原因だった可能性があることが,中国北西部の石筍(せきじゅん)から示された。
 石筍は炭酸カルシウムが溶けた水が滴り落ちてできたもので,地域の降雨の記録をとどめている。調べたところ,過去1810年間,唐,元,明の各王朝の衰退期にアジア・モンスーンによる恵みの雨が弱まっていたことがわかった。こうした雨の強弱を中国の歴史と対照すると,北宋の勢力拡大が豊作の時期に重なるなど,王朝の盛衰と一致する。
 中国ではここ50年間,工場の煤煙や温暖化ガスの影響によって降雨が弱まっている。現在の中国の指導者たちが気候変動への取り組みに熱心な理由もここにあるのかもしれない。Science誌11月7日号に掲載。 

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