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のぞき穴の錯視を解明〜日経サイエンス2009年5月号より

 のぞき穴を通して見ると,物体の動く方向が違って見える場合がある。斜めに傾いた棒が左から右に動いているのを穴からのぞくと,上下方向に動いているように見える。デューク大学のパービス(Dale Purves)らは,その理由を解明したと考えている。
 被験者に動く直線を穴からのぞき見てもらい,どの方向に動いているように見えるかを尋ねた。一方,3次元空間を移動する仮想の棒をコンピューターでシミュレートし,それを2次元の平面に投影して,3次元的な運動方向に関する情報を取り除いた。この結果,被験者が認識した運動方向は3次元の動きを平面化したシミュレーションから得られたものとほぼ完全に一致した。
 人間の網膜は基本的に2次元なので,網膜上の像は3次元的な動きの情報を伝えていないと考えられる。したがって,物体の移動方向の認識は,実は私たちが過去の経験に基づいて心理的に作り上げているものなのだ。この研究は米国科学アカデミー紀要1月6日号に掲載された。

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