哺乳動物を滅ぼした彗星〜日経サイエンス2009年5月号より
約1万2900年前,地球規模の異常な寒冷化によってマンモスなど35種の哺乳動物が絶滅した。地域によっては平均気温が15℃も下がったようだ。彗星の衝突かそれに似た爆発現象によって破片が吹き上げられて寒冷化を招いたとする説が昨年に提唱されたが,これを支持する新たな証拠が現れた。直径が数nmのダイヤモンドの微小片だ。
こうしたナノダイヤモンドができるのは堆積物が高温高圧にさらされた場合だけで,そうした条件は例えば彗星の衝突で生じる。北米の6カ所でナノダイヤが見つかった(アリゾナ州マレースプリングス,オクラホマ州ブルクリーク,ミシガン州ゲイニー,サウスカロライナ州トッパー,カナダのマニトバ州レークハインド,アルバータ州チョボット)。
欧州とアジア,南米での調査の暫定結果から同じ年代の堆積層に同様のダイヤ微粒子が見つかり,地球規模の出来事だったことを示している。ただし,6500万年前に恐竜を滅ぼした現象ほど大規模ではなかったことも明らかだ。Science誌1月2日号に掲載。