SCOPE & ADVANCE

枕木を取り替えるなら〜日経サイエンス2009年9月号

 鉄道の枕木は1本でも抜けると線路が危うくなる。それに比べれば,1本くらいなら地球環境に大した影響は与えないかもしれない。しかし,世界で何百万本もの枕木が老朽化していることを考えると,取り替え用の枕木にどの材料を選ぶかで,大気中の二酸化炭素(CO2)量は変わってくる。木製枕木を作るにはCO2を吸収する樹木を大量に伐採する必要があり,枕木100万本に必要な材木は約8万9000m³だ。コンクリート製枕木は,製造過程で燃料を消費するため,温暖化ガスの排出を増やす。
 豪メルボルン大学のクロフォード(Robert H. Crawford)は,1kmの線路を100年間つなぎとめるのに必要なコンクリート製枕木を製造すると,656~1312トンのCO2に相当する温暖化ガスが生じると結論づけた。しかし,この量は木製枕木の1/2~1/6ほどにとどまる。コンクリート製は長持ちするし,木製は朽ちるとCO2を放出するためだ。Environmental Science & Technology誌6月1日号に掲載。

サイト内の関連記事を読む